11月下旬より、立教大学21世紀社会デザイン研究科は、イタリア「幸せの経済学派」の代表的研究者ステファノ・バルトリーニ氏を招へい研究員として迎えます。滞在期間中に公開講演を2回開催する予定です。
第1回講演は12月2日(土)に開催されます。主著『幸せのマニフェスト』について、コロナ禍の欧州の省察を踏まえて話していただきます。お申し込み方法など詳細は、公式ウェブサイトを御覧ください。
公開講演「消費社会から関係の豊かな社会へ:ポスト・コロナ時代の社会デザインを考える」
日時:2023年12月2日(土)14時~16時 / 場所:立教大学池袋キャンパス 本館2階1201教室
概要
21世紀に入り人類は経済・社会・政治・環境における複合的な危機を経験しており、際限のない経済成長を社会の進歩の指標としてきた20世紀型の開発パラダイムの方向転換を求める声が世界の各地で現れている。欧州では2008年米国発金融危機を契機に「ポスト/脱・経済成長社会」への移行を求める声が急速に高まり、学術的研究も本格化した。近年の気候危機の加速化および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行はその流れを後押ししており、いまや「ポスト成長/脱成長」は未来社会デザイン研究のキーワードとなっている。
本講演では、イタリアで脱成長社会デザインをめぐる議論を牽引しているステファノ・バルトリーニ氏(シエナ大学)をお迎えし、主著『幸せのマニフェスト』(コモンズ、2018)の内容を中心にお話して頂く。金融危機直後の2010年にイタリア語で刊行された本書は同国で話題書となった。社会の幸福度を高めるために、消費社会から関係の豊かな社会への転換が必要なのはなぜか。そのための公共政策にはどのようなものがありうるか。本講演では、COVID-19後の世界の状況も踏まえてお話していただく。
講師
2023年度立教大学招へい研究員、イタリア・シエナ大学経済学統計学部准教授
ステファノ・バルトリーニ(Stefano Bartolini) 氏
専門は政治経済学、環境と開発、幸せの経済学。経済発展過程における社会関係資本の衰退が諸国民の幸福度や心身の健康に与える影響について、主に欧米諸国と新興工業国(中国、インド)を事例に研究している。持続可能な社会の条件として「社会関係の豊かさ」に注目し、多様な社会関係財の生産を通じたコモンズの再生を提案。都市公共空間、学校教育、働き方、メディア産業、医療制度に対する政策提言を行っている。「公共の幸せ」を理念とするイタリア独自の市民経済思想の流れを汲むその研究は、国連『世界幸福度報告2015年度版(World Happiness Report 2015)』で紹介された。
金融危機下の2010年にイタリア語で刊行された主著『幸せのマニフェスト』は本国で話題書となり、これまでフランス語、アルバニア語、日本語、英語に翻訳されている。近年著者は社会関係と幸福度に関する研究を環境の持続可能性に応用する研究を行っており、2021年にイタリア語で単著『Ecologia della Felicità(幸せのエコロジー)』(出版社Aboca、未邦訳)を刊行した。
講師、司会
中野佳裕(立教大学21世紀社会デザイン研究科特任准教授)
主催
立教大学21世紀社会デザイン研究科
中野佳裕
2023. 11. 3.