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研究者。PhD。専門は社会哲学、開発学、平和研究。社会発展パラダイムを問いなおし、持続可能な未来社会を構想するコミュニティ・デザイン理論の研究を行っている。脱成長、脱開発、トランジション・デザインがキーワード。 Researcher: Areas of specialization are social philosophy and critical development and peace studies. Working on community designing in line with the ideas of degrowth, postdevelopment and transitions design.

文学私選 My Favourite Literature

私は哲学書よりも文学作品を通じて「考えること」を学びました。子供の頃は読書が苦手で、好んで読んでいたのは日本昔話や竹取物語/平家物語などの日本の古典くらい。黙読するよりも、朗読して言葉の音の感触やリズムを楽しんだり、物語を聴いて覚えるのが好きでした。自分の感性に合う本と出会えるようになったのは、大人になってからです。

これまで読んだ文学作品の中で、特に好きで繰り返し読んでいる作品をリストアップしてみました。シェイクスピア、ルイス・キャロル、フローベール、ジョイス、イヨネスコ、ベケットあたりは原書で読むと圧倒的に面白いです。

海外文学の中で一番多く読んでいるのは、『ハムレット』。『リア王』と『ゴドー・・・』がそれに続くでしょう。過去最も心に残っている作品は、ボルヘス『砂の本』所収の短編「ウルリッケ」。幻想的で美しい物語です。言葉遊びや物語の軽快なテンポを楽しめるのは、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』シリーズ、イヨネスコの戯曲、フローベールの『ブヴァールとペキュシェ』。詩人で忘れられないのは、リッツォスとT・S・エリオットです。

日本文学は、近現代よりも古典の方が圧倒的に好きです。『竹取物語』『平家物語』以外では、能楽の戯曲が気に入っています。近代の作品としては、谷崎の「刺青」が私にとってのスタンダートとなっています。石牟礼道子さんの作品は、能楽の戯曲「不知火」や長編「春の城」など、内容的にも文学ジャンル的にも魅力的な作品が多いですが、繰り返し読んでいるのは、下記に挙げた二つの作品です。

今夏再び手にしているのは、ゲーテの『ファウスト』。物語の壮大なスケールに圧倒されます。


海外文学

  • ホメロス『イーリアス』『オデュッセイア』
  • アイスキュロス『縛られたプロメテウス』
  • ソポクレス『オイデプス王』『アンチゴネ』
  • セルバンテス『ドン・キホーテ』
  • シェイクスピア『リチャード3世』『ハムレット』『リア王』『ヴェニスの商人』『冬物語』『ソネット』
  • ゲーテ『ファウスト』
  • ヴォルテール『キャンディード』
  • フローベール『ブヴァールとペキュシェ』
  • ユゴー『レ・ミゼラブル』『ノートルダム・ド・パリ』
  • エドガー・アラン・ポー『メエルシュトレエム』
  • ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』
  • ジェイムス・ジョイス『ダブリン市民』『若き芸術家の肖像』『ユリシーズ』『チェンバー・ミュージック』
  • リルケ『若き詩人のための手紙』
  • サルトル『嘔吐』
  • サンテグジュペリ『人間の土地』
  • エメ・セゼール『帰郷ノート』『植民地主義について』
  • エリオット『荒地』『四つの四重奏(Four Quartets)』
  • イヨネスコ『授業』
  • ベケット『ゴドーを待ちながら』
  • ボルヘス『砂の本』
  • ウンベルト・エーコ『前日島』
  • リッツォス『括弧』
  • ミラン・クンデラ『冗談』『無知』

日本文学

  • 『竹取物語』
  • 『平家物語』
  • 『古今和歌集』
  • 『新古今和歌集』
  • 『宇治拾遺物語』
  • 『夕顔』(能楽)
  • 『土蜘蛛』(能楽)
  • 『鵺』(能楽)
  • 『卒塔婆小町』(能楽)
  • 源信『往生要集』
  • 世阿弥『風姿花伝』
  • 泉鏡花『二,三羽――十二,三羽』『草迷宮』
  • 谷崎潤一郎『刺青』『春琴抄』『少将滋幹の母』『人間が猿になった話』
  • 木下順二『夕鶴』
  • 石牟礼道子『苦海浄土』『椿の海の記』

中野佳裕

2022. 8. 21.