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研究者。PhD。専門は社会哲学、開発学、平和研究。社会発展パラダイムを問いなおし、持続可能な未来社会を構想するコミュニティ・デザイン理論の研究を行っている。脱成長、脱開発、トランジション・デザインがキーワード。 Researcher: Areas of specialization are social philosophy and critical development and peace studies. Working on community designing in line with the ideas of degrowth, postdevelopment and transitions design.

ポスト成長イノヴェーションを学ぶ

2024年11月29日(金)と12月4日(水)、立教大学の客員研究員として来日されたマリオ・パンセラ教授(ビーゴ大学、スペイン)による大学院生向け研究会を開催しました。

https://postgrowth-lab.uvigo.es/news/2024-12-09-mario-pansera-visits-rikkyo-university

マリオ・パンセラ教授は、科学技術イノヴェーションを専門家です。2020年より欧州研究会議(ERC)から助成を受けた研究プロジェクト「経済成長なき繁栄(PROSPERA without Growth)」の研究代表者を務めておられます。研究拠点のスペインのビーゴ大学には、「ポスト成長イノヴェーション・ラボ(Post-growth Innovation Lab」が設置され、同「ラボ」が中心となって第10回国際脱成長会議(10th International Degrowth Conference)が開催されました1

「ラボ」の目的は、脱成長/ポスト成長志向の科学技術イノヴェーションの在り方を構想することにあります。中堅~若手研究者を集めた学際的な研究環境の下、次のような研究課題に取り組んでいます。

  • イノヴェーションの政治(Politics of Innovation)・・・何のためのイノヴェーションか、規範と目的を問い直す。
  • 責任あるイノヴェーション(Responsible Innovation)・・・専門家による科学技術イノヴェーションの支配の構造を崩し、イノヴェーションの民主化を促進するガイドラインを構想する。
  • 協同組合運動と社会的経済(Cooperativism and Social Economy)・・・社会的公正を実現する協同組合型経済の可能性の探求
  • 草の根のイノヴェーション運動(Grassroots Innovation)・・・民衆をエンパワメントするボトムアップ型イノヴェーションの研究
  • ポスト成長&脱成長(Post-growth and Degrowth)・・・経済成長パラダイムにはまり込んだ既存の社会組織&制度の在り方を問い直し、ポスト成長&脱成長志向のイノヴェーションの道筋を構想する

11月29日(金)の研究会では、「ラボ」の基本的アイデアや取り組みが紹介されました。12月4日(水)の研究会では、草の根のイノヴェーション運動の事例として、欧州の「修理する権利を求める運動(The Right 2 Repair Movement)」の事例が紹介されました。

「ラボ」の取り組みは、脱成長のアイデアを科学・技術・社会(STS)やソーシャル・イノヴェーションの分野で具現化していく良い事例だと考えられます。欧州におけるポスト成長/脱成長研究の裾野の拡大を確認できた貴重な研究会でした。

2回にわたる研究会でパンセラ教授は、イノヴェーションの民主化のためには強力な社会運動が欠かせないことを強調されていました。社会運動と連携した研究を進めるPROSPERAは、まさに脱成長の本道を行く研究プロジェクトだと言えるでしょう。

当サイトにおける脱成長に関連記事

中野佳裕

2024. 12. 24.

  1. 第15回欧州エコロジー経済学会(15th Conference of the European Society for Ecological Economics)との共同開催。参加者は1000名を超え、900本を超える論文発表が行われた。 ↩︎

フランソワ・ケネー没後250周年企画

日仏経済学会では、フランソワ・ケネー没後250周年を記念して下記の大会および特別講義を開催します。

詳細は、日仏経済学会の公式ウェブサイトをご覧ください。


12月15日(日) 日仏経済学会2024年度大会

日程:12月15日日曜、10:00-18:00
会場:明治大学駿河台校舎・リバティタワー16階 1163教室

プログラム
 10:00-10:10 開会
 10:10-10:50 第1報告
   テーマ:「久保田明光教授とケネー」
   報告者:八木尚志(明治大学)
  11:00-11:50 第2報告
    テーマ:「平田清明教授とケネー」
    報告者:井上泰夫(名古屋市立大学・名誉教授)
  11:50-13:00 昼食
  13:00-13:50 第3報告 
    テーマ:「菱山泉教授とケネー」
    報告者:黒木龍三(立教大学・名誉教授)
14:00-14:50 第4報告
   テーマ:「ケネー『租税論』再考:国民の富と為政者の富」
   報告者:山本英子(成蹊大学・明治学院大学)
14:50-15:10 休憩
15:10-16:00 第5報告
   テーマ:「ケネーの『法の精神』批判:植民地論と
「商人の体系」概念の再構成」(仮題)
    報告者:定森亮(名古屋経済大学)
16:10-17:00 第6報告
   テーマ:「明治・大正の日本のケネー研究」
   報告者:田中秀臣(上武大学)
17:10-17:30 第7報告
   テーマ:「日本大学図書館経済学部分館所蔵
ケネー『経済表』第3版について」
   報告者:石田教子(日本大学)
17:40-18:00 日仏経済学会総会

終了後に懇親会を予定

この企画は次の助成を受けています
【助成】公益財団法人日仏会館

問い合わせ:八木尚志 yagi8 [at] meiji.ac.jp
吉岡 努 yoshioka060 [at] toyo.jp


フランソワ・ケネー没後250年記念講演会

明治大学大学院政治経済学研究科・特別講義
日時:2024年12月16日14:00-17:00
会場:明治大学駿河台校舎・グローバルフロント1階
グローバルホール
参加自由(研究者・一般を問わず参加を歓迎します)

フランソワ・ケネー没後250年記念講演会 
14:00-15:00 
八木尚志「ケネー『経済表』について」
15:20-17:00 (明治大学大学院・特別講義)
米田昇平教授「ケネーと18世紀フランス経済学」